太鼓の思い出

台風はもう見えないけれど、海はしっかり大荒れ。

ゲームと現実の奇妙な交差点「今日の8割」

 

本日のお題は「演奏できる楽器」

 

お題「演奏できる楽器」

 

私の中学時代の話。

私は吹奏楽部に所属していて、トロンボーン奏者だった。

トロンボーンという楽器は、右手で長いスライドを伸ばして音階を操作し、左手は砲を構えるが如く固定して、演奏する。

他の管楽器はボタンやらピストンやら操作するのに、トロンボーンはあのスライドを大きく動かすので誤魔化しが効かない。だから、吹けないところは手振りだけでも真似してやるというのは、今でもよく覚えている。

 

さて、吹奏楽部のメンバーと一緒に遊びに行って、ゲーセン何かに行ったりすると、やはり音ゲーなんかを遊ぶ訳である。

そこでいつも選ばれるのは、決まって『太鼓の達人』だった。

 

しかし、私はこの太鼓の達人が随分と苦手だった。

なぜなら、左手が使えないからだ。

別に左手が病気とかそういう訳じゃない。

不器用で、左手と右手が同時に動かせなくて、右手だけで遊ぶ「片手縛りプレイ」のような状態になってしまうからだ。

 

そうなると、いろんなところに支障が出る。

音符が重なってるところとか、追いつかない。

ふつうでギリギリ。

むずかしいで一緒に遊べない。

恥ずかしい。

周囲から奇異の目で見られる。

次第に、右手が熱を帯びてしなってくる。

叩くたび、段々と伸びる感じがしてくる。

演奏が終わった頃、伸びきって、元の長さに戻らなくなる。

 

そうなっても、トロンボーンの演奏には支障がないので、誰も気にしない。

「じゃあ、帰ろうか」と誰かが言いだすと、

私は伸びきって地面についてしまった右手を、左手に巻いて回収する。

そうやって持ち帰って、翌日までに元の長さぐらいに戻して、また朝練に出る。

そんな懐かしい、青春の日々があってもいいじゃないか。