【意外なゲーム】あなただけの『あらしのよるに』

世の中には意外なゲームがある。

例えば、ファインディング・ニモなんかは意表をつく作品である。

 

さて、「あらしのよるに」という有名な話がある。

本来捕食関係にある、やぎとオオカミが一つ屋根のした嵐を凌ぐという話だ。

大型版 あらしのよるにシリーズ(1) あらしのよるに

大型版 あらしのよるにシリーズ(1) あらしのよるに

 

だが、そのゲームがある。

あらしのよるに

あらしのよるに

 

というか、あったらしい。

 

多々気になる点はあるが、パッケージの裏面で私の興味を惹いたのは

「あなただけの『あらしのよるに』が今始まる!!」という力強いメッセージだ。

 

いったいどういうことなのだろうか。

 

例えば、私だけの桃太郎があったらどういう話になるんだろうか。

少し考えてみたことがある。

 

桃太郎は鬼を倒し、宝を持ち帰る…というところまでは同じだ。

物語は、桃太郎達が村に宝を持ち帰った日に始まる。

村は英雄「桃太郎」を歓迎した。

 

桃太郎らは早速、宝を返還したのだが、持ち帰った宝は、明らかに奪われた村の宝よりも多かったことが分かった。残った宝は、とりあえず桃太郎の家に預けられた。宝に書かれた文字などから、桃太郎達は元の持ち主を割りだしたので、翌日にでも元の主へ宝を返しに行こうとした。

だが、その日の夜。一部の村人らが「桃太郎は宝を私物化しようとしている」「実は村人の宝を返していないのではないか」等と噂を立て始めた。さらにまずかったのは、実は宝の一部は鬼が横流しをしてしまったので帰ってこなかったと言うことだ。募っていく不平不満。渦巻く疑い。噂に尾ひれ背びれがついて、やがて噂は真実になる。

「桃太郎は鬼の一味だった」と。

 

帰ってきた桃太郎は、その夜におじいさん、おばあさんらと酒を飲みかわしていた。

鬼退治の旅の思い出を語り、酒を飲みかわす一同。

村人たちはその様子を鳥を使って確認し、桃太郎の家に押し入ってきた。

 

 

浴びせられる罵声。

理不尽な暴力。

踏みにじられたきびだんご。

 

おじいさんも、おばあさんも、犬も、猿も、雉も。

大切な人と仲間が、目の前で斬り倒されていった。

 

桃太郎は命からがら逃げ出した。

皆のために旅に出た桃太郎だったが、その正義の心に裏切られた桃太郎は、私利私欲に塗れた村人達に、人間に絶望した。

 

怒りに震え、頭のてっぺんに熱がこもっていくのを感じる。

皮膚が変質し、こわばっていくのが分かる。

 

こうして、桃太郎は鬼が生まれる仕組みを、自らの身によって理解した。

 

これがエピソード1だ。

 

 

この後、エピソード2にて暗黒面に支配されて、復讐の鬼になった桃太郎は、鬼を従えて人類への復讐を実行する。

エピソード3では、桃太郎も寿命が近くなってしまう。末永い理想の遂行のために、クローンとして次世代の桃太郎を栽培する。しかし、クローンにも正義の心が宿っており、(皮肉にもオリジナルも持っていた)正義の心で桃太郎は倒されてしまう。

「お前だって、桃太郎だろうが!」は作中屈指の名シーンである。

 

 

そんな話はない。

 

まあ、ここまで突き抜けたものはないにしろ、

オオカミがやぎと打ち解けたり、打ち解けなかったり、自然の摂理に身を任せちゃう的な、オリジナルなシナリオが楽しめるのかもしれない。

 

あらしのよるに」遊んで見たい。